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1歳半の息子の暴れん坊ぷりに泣いた話

息子は1歳までは本当にかわいかった。ムチムチで演歌歌手の大江 裕にそっくりだった。

でも最近息子は自我ができ始めている。言葉を覚え始める息子もかわいい。けど出来ることも増えていたずら大好きでそんな息子のエネルギーに追いつけない。


息子はとにかく早起きだ。大体5時、早くて4時半。起きたらまず髪をひっぱってくる。壁をドンドンする。やめなさいと言っても聞かない。

近隣の苦情におびえながら私はとにかく息子を壁から引き離す。2秒で壁に向かう息子。頭から壁にぶつかってもびくともしない。バーサーカーか。


壁ドンドン&引きはがしを20回くらい繰り返しようやく飽きた息子は大きな声で騒ぎ出す。「だーっあーっちあーただー!!」朝6時から出る声量じゃない。演歌歌手じゃなくてオペラ歌手だったのか。

何か伝えたいんだね。でもここは日本だから。日本語で頼む。ごはんなら置いてあるよ。うんテレビもついてるよね。リモコン投げるのはやめてね。日馬富士か。


寝不足気味の夫が起きだす。夫に抱っこしてもらい少し落ち着く息子。巨体ながらお姫様抱っこされるのを好む息子。

しかし息子は12キロあるのだ。米2袋よりも重い彼をずっとは抱っこしていられない。おろすと泣く。ぴえん。


夫が出社する。録画してたEテレにも飽きてきた息子。最近のお気に入り「タンスの引き出しをひたすらゴンゴン」という遊びをしだす(タンスのストッパーはとうに彼が壊した)


「やめなさい」

ゴンゴン

「やめなさい!!」

ゴンゴン

人生でこんなに怒鳴ったことない。叱り方がこれで合ってるのかもわからない。

そもそも育児って「叱らない」のが良しとされてるんじゃなかった?こんな1歳児に怒鳴ったりするの完全に時代と逆行してるよね。近所から虐待って通報されたらどうしよう。尾木ママに叱られる。


ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン


「いい加減にしなさい!」


今までの人生で一番大きな声出した。中学校の時好きな人がいるから応援団になりたくってその応援団のオーディションで腹の底から出した声と同じくらいの声量出た。

オーディションは落ちたけど、くそ。こんな声量30過ぎても出るんやな。


一瞬止まる息子。やったか?



ニヤっ

ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴ


忘れてた、この人日本語通じないんだった。完全に今の怒鳴り声、「タンスをゴンゴン」の合いの手だと思っちゃってるよ。より躍動感出てテンポもあがってきちゃったよ。


涙出てきた、うける。この感情は何だろう。虚無感とか徒労感とかもちろん腹立つとかいろんなものがないまぜになった感情だ。


今までかわいくてしょうがなかった息子が急に遠い存在になった気がすること。

あれだけのパワーで怒っても息子には届かず、恐怖すら感じたこと。

そして自分がこんなことで壊れる程度のキャパだったということ。


1歳半に多少振り回されたからといって泣くほどではなかろう。私だって独身の頃はそう思っていた。子育て世帯の愚痴を聞くたびに「大げさなのでは…」と思ったこともある。


でもあの頃の私は何もわかっちゃいなかった。良い大人でも1歳児半に泣かされるものなのだ。


そしてその事実でさらに泣けてくる私。


情けねえーーーーーーー


そんな泣きじゃくる私を見て、笑いながらタンスをゴンゴンする息子。容赦ないな。サイコパスかよ。


タンスにゴンゴンも飽きてきた息子。急に眠くなってきたのか私にすり寄ってきた。サイコパス気味とはいえまだ1歳半。眠るときは私の腕枕がないと眠れない。


「いやさんざん暴れておいて今更甘えられてもちょっと…こっちの気持ち整理できてないんで」と距離を置こうとする。火がついたように泣き出す息子。つらい。


ベッドに横になり12キロの巨体で私の首に乗っかりながら息子は私の腹の肉をつまむ。

爪が刺さって痛い。だが彼はこうしてないと眠れないのだ。子供かよ。いや子供なんだよな。


ようやく寝てくれた息子。寝てる息子は本当にかわいい。そして息子が寝てる今これを書いている。

書いていたらちょっと落ち着いてきた。起きたら息子と散歩に出かけよう。ちょっといいカフェでコーヒー買って息子を思いっきり遊ばせよう。

大丈夫。保育園再開までもうすぐだ。







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